
慢性の腰痛
1) 慢性腰痛症(いわゆる腰痛症)▽ 症状
腰全体に疲労感、脱力感があり、重苦しい痛みを感じるのが特徴です。
長時間、同じ姿勢で作業や運転をすると、痛みが増すことが多く、
雨の日や寒さの身にしみる朝夕、湿気の高い梅雨時などに、痛みが増悪することも多いようです。
▽ 診断
1) 病院の検査上は異常が認められず、【原因不明】と診断される、
2) 変形性脊椎症などの年齢的変化があるために、【年のせい】と診断される、
3) 椎間板ヘルニアの写真所見があるために、【椎間板ヘルニア】と診断される
の3種類が多いようです。
2) 変形性脊椎症(変形性腰椎症)
変形性脊椎症では、レントゲン写真上、腰椎にトゲのような骨の突起が見つかります。
加齢により脊椎の老化が進み、腰を支える筋肉や靭帯が弱化した時に、トゲ(骨棘)ができます。
ただ、骨棘があっても、必ずしも腰痛になるわけではありません。
しかし、不良姿勢などによる負荷がきっかけで、腰痛を起こすことがあります。

3) 椎間板ヘルニア
腰の真ん中には腰椎という骨があります。
腰椎は脊椎(いわゆる背骨)の一部で、第一腰椎から第五腰椎まで五個あって縦に重なっているのです。
これら一個一個の脊椎の間にあって、クッションの役割をしているのが椎間板です。
この椎間板の一部が脊椎の間からはみ出た状態が[椎間板ヘルニア]です。

実は、椎間板ヘルニアの症状として一番怖いのは腰痛ではありません!
椎間板の後には脊髄という神経の束が通っているのです。
もし、腰部の椎間板ヘルニアによって脊髄が強い圧迫を受け損傷されると、
下半身の機能が障害されてしまいます。
これが一番怖い症状です。
足が動かなくなったり、排尿の調節ができなくなったりするわけです。
また、この脊髄への圧迫がごく軽ければ、足がしびれる程度の症状になります。
腰痛がある場合、前屈で腰の痛みが増悪し、臀部や下肢の坐骨神経痛を伴うことが多いのが特徴です。
4) 腰椎分離症(腰椎分離すべり症)
腰椎分離症は、腰椎の突起部分が、分離している状態です。
激しいスポーツにより腰椎に繰り返し負担がかかり、分離するのではといわれています。
「腰椎分離症」という診断はレントゲン写真でできますが、
この状態の人全てに腰痛を感じるわけではありません。
また、腰椎分離により、上の腰椎が下の骨の傾斜に沿って滑り出てしまい、
腰痛や足のしびれなどが出ると「腰椎分離すべり症」とよばれます。
背中を後ろにそらすようにすると痛みが強くなるのが特徴です。
腰椎分離症・腰椎分離すべり症の治療法
子供が激しい運動をすることで、分離することがありますが、
その時は運動を中止しコルセットなどで固定し腰への負荷を軽減させます。
早い段階だと分離部分が癒合されて寛解します。
癒合がされない場合や成人の場合、腹筋や背部の筋肉の強化が必要です。
腰椎分離すべり症は状態により、固定をする手術を行います。
5) 椎間関節性腰痛症
椎間関節は脊椎の後方にある左右1対の小関節です。
椎間板とともに椎骨間の支持、連結を行っています。
この関節は上下椎の関節突起によって形成され、滑膜を有する完全な関節です。
慢性のものは中高年に多く、この関節に変性や炎症が生じて腰痛が発症します。
朝の動き始めの症状が強く、「ここが痛い」と指し示すことができるのが特徴です。
6) 腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症は背骨の変形や、椎間板の膨張、黄色靱帯の肥厚などで神経の通る脊柱管が狭くなって起こります。
原因としては加齢や無理な労働などで中高年に多く発症します。
腰部脊柱管狭窄症では腰痛はあまり強くなく、特徴的な症状は歩行と休息を繰り返す間歇性跛行(かんけつせいはこう)です。
歩行中に下肢にしびれや痛みが出て歩きづらくなり、立ち止まって少し前かがみになったり、座ったりするとしびれや痛みは軽減されます。 。
歩行障害が進行し、日常生活に支障が出てくる場合には手術が必要なこともあります。
7) 内臓の病気
婦人科疾患(卵巣や子宮の病気)、消化器疾患、腎臓疾患などでも、慢性の腰の痛みが生ずることがあります。
慢性の腰の痛みでも、医療機関でしっかり検査を受けておく必要があるわけです。

※ 思い込みについて
たとえば、椎間板ヘルニアがあると、必ず腰痛になるわけではありません。
変形性腰椎症などでもそうです。
実際のところ、これらの診断がつけられるからといって、それが腰痛の原因とは限りません。
逆に、腰痛のない人の腰にこれらの変化を認める場合も多いのです。
何らかの診断名が付いた場合、その呪縛によって、
「治らないもの」と思い込まないように注意する必要があります。
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