
急性の腰痛
● 原因と症状1) ぎっくり腰
「ぎっくり腰」は、何気ない動作がきっかけで起こる腰痛の総称です。
ふとした動作で腰がギクッし、ひどい場合は、痛みのため動くことができません。
「ぎっくり腰」のきっかけは、次のようなちょっとした動きです。
・朝、顔を洗おうとして前かがみになった
・重い物を持ち上げようとした
・振り向こうとして、体をひねった
痛みは突然起こるのですが、長い間の腰への負担が根底にあることが多いようです。
a. 椎間関節性腰痛症
ぎっくり腰の原因のひとつが椎間関節性腰痛です。
椎間関節は脊椎の後方にある左右1対の小関節です。
この関節は椎骨間の支持、連結を行っています。

b. 筋筋膜性腰痛
筋筋膜性腰痛も、ぎっくり腰として多い病態です。
筋筋膜性腰痛に関与する筋は脊柱起立筋と呼ばれる筋群です。
ゴルフなどの体の捻転で強い負荷がかかったとき、長時間の前屈位姿勢などから発症します。
痛みは最初はあまりひどくありませんが時間の経過とともに強くなる傾向があります。
2) 椎間板ヘルニア
腰の真ん中には腰椎という骨があります。
腰椎は脊椎(いわゆる背骨)の一部で、第一腰椎から第五腰椎まで五個あって縦に重なっているのです。
これら一個一個の脊椎の間にあって、クッションの役割をしているのが椎間板です。
この椎間板の一部が脊椎の間からはみ出た状態が[椎間板ヘルニア]です。

実は、椎間板ヘルニアの症状として一番怖いのは腰痛ではありません!
椎間板の後には脊髄という神経の束が通っているのです。
もし、腰部の椎間板ヘルニアによって脊髄が強い圧迫を受け損傷されると、
下半身の機能が障害されてしまいます。
これが一番怖い症状です。
足が動かなくなったり、排尿の調節ができなくなったりするわけです。
また、この脊髄への圧迫がごく軽ければ、足がしびれる程度の症状になります。
腰痛がある場合、前屈で腰の痛みが増悪し、臀部や下肢の坐骨神経痛を伴うことが多いのが特徴です。
3) 腰椎圧迫骨折
a. 外傷性
転倒や高所からの転落などによって、腰椎圧迫骨折が起こる場合があります。
精密検査と入院安静が必要です。
b. 骨粗しょう症
骨粗しょう症は、骨の密度が減少して、もろくなってしまう病気です。
特に女性に多く、50代あたりから徐々に骨密度の減少がみられるようになります。
骨粗しょう症になると、骨量が減少し、骨が「す」が入ったようにもろくなっていきます。
しかし、初めのうち自覚症状はほとんどありません。
日常では、骨がもろくなっていることに気付かず、そのままの生活を送ってしまいます。
骨折によって初めて痛みとして自覚症状が現れることがあるのです。
c. 悪性腫瘍
骨に悪性腫瘍があると、骨がもろくなる場合があります。 そのため、特別な誘因がないのに圧迫骨折を起こしている場合は、悪性腫瘍も鑑別する必要があるのです。
4) 感染性脊椎炎
脊椎(腰椎)に細菌、結核菌などが感染することによって腰痛をおこします。
発熱を伴うことが多い。
5) 内臓の病気
腎結石や大動脈瘤などのために腰の痛みが生ずることがあります。
通常、耐え切れないほどの痛みがあり、安静にしていても治まりません。
● 腰痛の治療について
原因によって、治療法は異なります。
医療機関を受診し、診断によっては入院を要します。
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※ 思い込みについて
たとえば、椎間板ヘルニアがあると、必ず腰痛になるわけではありません。
変形性腰椎症などでもそうです。
実際のところ、これらの診断がつけられるからといって、それが腰痛の原因とは限りません。
逆に、腰痛のない人の腰にこれらの変化を認める場合も多いのです。
何らかの診断名が付いた場合、その呪縛によって、
「治らないもの」と思い込まないように注意する必要があります。
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